2008/06/01

 
知覧の人

「私はひとりでも多くの人に知覧に来て欲しい。」

終戦を国民学校4年生で迎えた女性が、目に涙を浮かべておっしゃいました。女性の故郷は鹿児島県、知覧。日本中から集められた特攻隊員が最後の時を過ごした場所。

「特攻で散っていった若い兵隊さんたちの笑顔を今でもありありと覚えていますよ。」

「最後の方は、ガソリンが足りなくて、私たちの村で墜落してしまう特攻機もたくさんあって・・・」

「最初の頃は、軍がやってきてラッパを吹いて葬送もしていましたが、もう最後の方は私たち村人だけで弔いました・・・」


日曜の昼下がり。六甲界隈のカフェ。他に居合わせた人たちと、とりとめもなく映画の話をしていたのに、「ホタル」という映画のタイトルを聞いたとたん、彼女の心は63年前の悲劇でいっぱいになってしまいました。


そろそろお開きの時間となってしまったので、「また、お話聞かせてください。」と私が言うと、「いくらでも話しますよ。」と笑って、彼女は初夏のさわやかな街に紛れていきました。

話してくれて、ありがとう。
そして、この出会いに感謝します。

大人のためのおはなし会」にて。

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