2010/07/31

 
ジャングルに支えられて

昨日の7月30日は、ベトナム帰還兵であり、その後平和活動にご尽力されたアレン・ネルソンさんのご存命であれば63歳の誕生日でした。関西でのネルソンさんの活動を支えられたお友達の皆さんが集まられて、ネルソンさんの誕生日を祝おうということになりました。

会は、ネルソンさんの証言を記録したDVD「ベトナムの記憶」の鑑賞から始まりました。私も講演会でのお話は何度も聞いたことがありましたが、そのDVDの中のネルソンさんは、ご自宅のお気に入りのソファに座って、くつろいだ雰囲気で、戦場での体験、その後のPTSDのことなどを話されていました。

驚いたのは、初めてベトナムのジャングルに海兵隊員として派遣されたとき、「怖かったのは敵ではなく、虫だった」という発言でした。「ニューヨーク育ちの私が知っている虫といえば、ゴキブリぐらいのもので、見たことも無い虫がどこにでもいて、自分の体を這い上がってくる、これが怖くて怖くて仕方なかった、ジャングルが大嫌いだった」と。そうなんですよね。海兵隊員ということになっていても、中身はついこの前高校を卒業したばかりの虫が怖い10代の若者。

そんな若者が戦場で、敵を殺し、そしてそれ以上に罪もない女性や子どもを殺し、「これは間違っている、こんなことをしている自分は間違っている、アメリカは間違っている」と苦悩しながらも、何をどうしたらいいのかわからず、殺戮を続けるしかなかった。。。


そんなネルソンさんを慰めてくれたのは、自然だったそうです。


「最初、あれほど嫌いだったジャングルが、私の唯一くつろげる場所になった。ずっとジャングルにいたかった。なぜならジャングルは理解できたから。ジャングルの虫や動物は、生きるために他のものを殺して食べている。これは理解できる。でも、戦争は、殺すために殺す。何のために自分は人を殺すのか、まったくわからなかった。」

そして、自然はネルソンさんに生き延びるための力も与えてくれたようです。

「ジャングルに入って、鳥のさえずりや、虫の鳴き声や、猿の声を聞くと心が和んだ。生きているということを実感できた。それに実際、動物たちの声が聞こえないということは、本当に死が近いことを意味しているんだ。戦闘が始まる前、動物は何故かそれを察知していて、敵と我々の間の空間からいなくなる。だから、動物たちの気配がなくなると、いつからこんな静かになったのかを思い巡らせて、戦闘の開始を予想しなければならないということなんだ」


戦場という正気ではいられない場所に身をおかねばならなかったとき、正気でいることを支えてくれたのは自然であった、そして自然に耳を傾けることで生き延びることができたというネルソンさんの体験を聞いて、私はほんとうに自然と言うものは、いろいろな形で人々をたすけてくれるものなのだと、改めて感動しました。


話が少しそれてしまうようですが、毎週発行しているメールマガジン「7世代に思いをはせて」で、しばしばネイティブ・アメリカンの格言を紹介していますが、まだご紹介していない、私の好きな格言があります。


「ひとの暮らしに疲れたら、自然に還る」
「こころを澄ませば、自然はいつも語りかけてくれる」
 『アメリカ・インディアンの書物よりも賢い言葉』エリコ・ロウ著


現在の平和ではありながらもさまざまな社会的、経済的問題を抱える日本の生活の中で、心が疲れたとき、これらの言葉を思い出し、自然に触れて心を癒していましたが、戦場というずっとずっと過酷で地獄のような場所でも、自然は、というよりも自然こそが、人に語りかけ、支えてくれるものなのですね。


まだまだお話したいことはあるのですが、長くなります。
今日はこの辺で。


Happy Birthday! Mr. Nelson!

2010/07/27

 
Peaceful Tomorrows

7月25日に大阪女学院にてPeaceful Tomorrowsのメンバーお二人による講演会がありました。Peaceful Tomorrowsとは、2001年9月11日の同時多発テロ事件によって家族を亡くされた方々の組織であり、「自分の愛する人の名のもとに戦争をすることは許さない」と、アフガニスタンやイラクでのアメリカの戦争に強く反対し、同じく政治的な暴力によって身内を亡くし、傷ついたアフガニスタンやイラクの人々を支援している市民団体です。私もその考え方に深く共鳴し、発足直後からメーリングリストの会員になっていましたが、今回大阪での講演会を聞き、その共感を深くしました。

今回、来日されたのはNancy MeyerさんとRobyn Bernsteinさん。Nancyさんは義理の妹さんを、Robynさんはお母様を911事件で亡くされました。それでも、いえ、それだからこそ、これ以上同じような苦しみと哀しみを増やしたくないと、対テロ戦争には強く反対されています。

彼女たちが訴えたのは、「肉親を亡くすという個人的な哀しみを、戦争という手段で解決しようとしてほしくない。私たちが望むのは、あの911事件の容疑者を多国間の努力で見つけ出し、法の裁きを受けさせることであって、アフガンやイラクの関係のない市民や子どもたちの上に爆弾を落とすことではない」と、あくまで911事件を犯罪と位置づけ、戦争は間違っているという主張でした。


911事件の被害者の遺族の方が訴えられる真摯な声を、アメリカ政府ならびにアメリカや日本のメディアももっと取り上げてくれれば・・・と強く願いました。


今回の講演会は、大阪女学院短期大学ボランティア部の企画、運営によるものでした。当日は35度を越える暑さでしたが、女子学生たちが一生懸命に講演を支えていました。こんなに若い女の子たちが、アフガンやイラクの子どもたちのこと、そして平和な未来のために動いてくれていることに感動した、嬉しい一日となりました。

2010/07/18

 

「911の子どもたちへ」


「2001年9月11日・・・あなたは何をしていましたか?」の問いかけで始まる、関東の大学生が製作したドキュメンタリー映画「911の子どもたちへ」を、今年の「花と爆弾ピースライブ」で上映することにしています。

その宣伝のために、いろいろなところでチラシを配り始めているのですが、よく聞かれる声が「え、2001年の9月11日???何かあったっけ?」
大学生はもちろんですが、40代、50代の人からもこのような反応が多くて、やはり9年の歳月の流れをひしひしと感じます。

9年ですものね。。。今の大学1年生はたった10歳だったんですよね。
でも、9年たってもアフガニスタンではまだ戦闘が続いています。終息するどころか戦闘はますます激化して、米軍やNATO軍の兵士の死者数はここ数ヶ月最悪のペースで増えていますし、また空爆による市民の犠牲者も増え続けています。
そして、日本国内でも、様々な法改正により自衛隊はインド洋やイラク本土まで派遣され、それが当然のことのような社会へと変わりました(20年前には考えられなかったことです。)

20年前は異常だったことが、この10年で当たり前のことのようになり、その変化が日常のものとして問題視されなくなったこの時代のながれ・・・。そんな中、大学生たちが911事件に関心を持ち、また現在のイラクやアフガニスタンでの戦闘の悲惨さ、また日本とこの「対テロ戦争」のかかわりを鋭く描いてくれていること、そしてこのドキュメンタリ-映画に出会えたことに、私はとても感謝しています。


この秋は、「911の子どもたちへ」の上映をとおして、ひとりでも多くの方に、あれから世界はどう変わったのか、そして日本はどう関わっているのか、今後世界にどうなってほしいか、どうすればそうのように変えられるのかを考えてもらえる、そんな機会をつくりたいと思います。


映画では、このブログやメルマガなどでもご紹介してきたベトナム帰還兵の故アレン・ネルソンさん、未来バンクの田中優さん、そして「イラクの子どもを救う会」の西谷文和さんも出演され、貴重な意見を述べられています。

2010年9月11日、大阪通天閣の真横のBARでの上映会です。
まだまだ先のことですが、ぜひスケジュール帳にチェックしておいてください。


第7回 花と爆弾ピースライブ&ドキュメンタリー
(アフガニスタンとイラクの子どもたちへの募金イベント)
 
9・11:9年目の9月11日の夜に・・・
「―2001年9月11日、あなたは何をしていましたか?」

学生映画 『911の子どもたちへ』上映会
●日時:2010年9月11日(土)  
●場所:Bar のこされ島(大阪通天閣隣)
●参加費:一般2000円
学生1500円
(1ドリンク&1フード付き)
●ご予約・お問い合わせ
 BARのこされ島 http://www.nocoto.com/
TEL 06-6633-5565(19:00以降)
●主催:小橋かおる   

スケジュール(予定)
17:00 開場
17:30 「やんばるからのメッセージ」上映
18:00 丸岡マルコ淳二 ライブ
18:30 「911の子どもたちへ」ドキュメンタリー映画上映
20:00 阿部ひろ江ライブ & 交流会 ~ 21:46 黙祷

「911の子どもたちへ」
HP http://911children.com



11月には神戸でも上映会の企画があります。
また、お知らせしますね☆

This page is powered by Blogger. Isn't yours?