2010/12/24

 
青年記者の覚悟

昨日、関西エリアで放送されている夕方のテレビ番組「NEWSゆう+」で、大阪地検特捜部が証拠のFDを改ざんした事件とそれをめぐるメディアの検証をしていた。


警察や地検のリーク情報をそのまま事実として報道してきたこれまでのメディアの姿勢には、私もずっと疑問を感じていたが、今回のFD改ざんという検察が隠してきた事実を追求したのもまたメディアであったことを知り、感激した。


FD改ざんを知ったのは、朝日新聞大阪編集局検察担当の青年記者板橋氏。捜査段階で検察から聞いていた内容と、裁判で被告が語る内容があまりにも違う点に疑問を抱き、検察側に操作方法について取材を重ねたそうだ。最初は「我々の捜査は完璧だ」と相手にもされなかったが、1ヶ月が経ったころ、ある検事から「前田検事が証拠を改ざんした」と告げられたとのこと。


その信じられないような告発に、記者は当惑する。このような国家権力の闇を報道することが、どれほど危険なことかは、検察の裏金について告発しようとした三井環元公安部長の逮捕劇を見れば明らか。「口封じのために、逮捕されてしまうかもしれない」との恐怖がつきまとう。

しかし、国家が無実の人を犯罪者にしたてあげてしまう権力の濫用を見過ごすわけにはいかない。「記者の覚悟」を決め、証拠のFD入手、FD解析に奔走する。そして、鮮やかに浮かび上がった検察によるFD改ざんの事実。これをきっかけに、改ざんを実行した前田元検事の逮捕、特捜部上層部の逮捕と、検察全体にまで事件は発展している。


一人の記者の素朴な疑問と、逮捕を覚悟するという大きな勇気によって明らかにされた、国家権力の横暴。この青年記者の勇気に最大の賛辞を送りたい。

また、同時に、権力の監視役であるはずのメディアが、その本来の仕事をするにあたって、このような危険を覚悟しなければならないこの国の現状を、私たち国民は肝に銘じておかねばならないだろう。


番組はこう締めくくられていた。
検察が言うことは事実ではないかもしれない。メディアは検察と一定の距離を置くことが必要だ。」
メディアから情報を得る私たちにも、この距離、すなわち客観性が常に必要だと強く思った。

2010/12/16

 

この雲、何に見える?

ひょんなことから「花と爆弾」の挿絵を描かせてもらってから、ほぼ6年。あの鉛筆画を描いたのも、中学の美術の時間以来のことで、またその後も絵を描くということはなかったのですが、この秋、なんだかとっても描きたくなって、アクリル絵具を使って、絵本のようなものを描いてみました。

「この雲、何に見える?」と題する6枚のアクリル画。
連作を観終わったとき、笑顔になってもらえたら嬉しいなと思いながら描いた6枚です。


それから「どこかで発表させてもらえたらな~」と思っていたら、またまたひょんなことから、神戸大学の美術部に声をかけていただき、美術部新人展に出展させてもらうことになりました。


神戸大美術部の1年生の作品が中心の、若者の感性あふれる絵画に混ぜてもらって、なんだか気恥ずかしいばかりですが、神戸にお買い物にいらした際には、ぜひぜひお立ち寄りください。


神戸大学美術部新人展
会期:2010年12月17日~21日(9:30~18:00、最終日は17:00まで)
会場:こうべまちづくり会館ギャラリー
交通: JR・阪神元町駅西口から8分
    高速花隈駅東口から3分
    地下鉄海岸線みなと元町駅西口から2分


写真は6枚の連作のうちの1枚です。
「この雲、何に見えますか?」

2010/12/10

 

アフガン人青年ジャーナリストが語ってくれたこと

12月3日~5日に佐世保で開催された平和大会に出席するためにアフガニスタンより緊急来日された青年ジャーナリスト、サバウーンさんの講演会に昨日行ってきました。

これまでもアフガニスタンで支援活動をされている方々から、現地の窮状は聞いていましたが、今回初めてアフガニスタン人の方から直接お話していただき、とても心に迫るものがありました。特にサバウーンさんは英語がお上手なので、英語で語ってくださったこともあって、より身近なことのように感じられたのかもしれません。

彼の報告によると、アフガニスタンで生まれた赤ちゃんの25.7%が幼児のうちに亡くなるということです(2009年UNICEF発表)。その理由の一番は、ほとんどの子どもたちがきれいな水を飲めないことにあります。また、きれいな水がないために、水を一度沸かして飲まなくてはならず、その熱湯をかぶってやけどをする子どもたちが後を絶たないとのことです。このような事故は、特に避難民キャンプなどで多く起こるのですが、首都カブールにある唯一の小児病院では、やけど用の薬もなく、あったとしても非常に高価で、医師たちはなす術もない状態だそうです。


サバウーンさんはカブールの避難民キャンプの写真を見せながら、何度も訴えていました。
なぜなんだ。いったいなぜ、いつまでたっても国際支援の手は、この避難民キャンプに届かないんだ?」


避難民キャンプの写真の後ろのほうには、建設中の高級アパートや豪邸が見えます。日本も拠出している人道支援や復興資金の半分は、拠出している国の人々や会社に流れ、また半分がカルザイ政権の人々に流れ、実際援助を必要としている人々に届いているのは資金の10%にも満たないのではないか、とのことでした。

また、「カブールには国連やWFP(世界食糧計画)のスタッフが来て、で~んとオフィスを構えているのに、なぜ彼らはこの避難民キャンプにやってこないんだ?どうして、子どもたちはいつまでも裸足で寒さに震え、汚い水を飲まなければならないんだ?」と、子どもたちの写真を見せてくれました。


2001年以降、アフガンで広がったのは、貧富の格差と汚職の文化だと、彼は言います。
カルザイ政権の汚職が問題にされるが、汚職のうまみをアフガン人に教えたのはアメリカだ。友人の多くが米軍基地の建設に関わっているが、仕事を取るために多額の賄賂を渡している。こんなことは以前のアフガニスタンにはなかった。」


そして、「タリバン掃討作戦で、村を空爆するのは、愚かな作戦だ。一人のタリバンを殺すために村人全員殺すなんて、タリバン掃討ではなくて、タリバン増殖作戦のようなものだ」と訴えました。


今回、アフガニスタン人の生の声として一番印象に残ったのは「米軍がこのまま撤退したら、必ず内戦が起こる」というものでした。ソ連が撤退した後の地獄のような内戦を再び繰り返したくないとの思いが、非常に強く感じられました。ただ大切なことは、治安維持のために米軍は必要だということは認めても、村を全滅させるような作戦は許されるものではないし、その空爆から逃れてくる人々が避難民キャンプを形成し、その劣悪な環境で子どもたちが苦しむのはおかしいということです。当然の思いだと私も改めて認識しました。


日本に期待することは?との質問には、「医師や薬を届けてほしい。そしていつか米軍が撤退し、アフガニスタン人でアフガンを治める時代が来たら、アフガニスタンに癌のようにずっと存在し、内戦を引き起こしてきた民族主義を超えて人々が団結できるように、平和会議を取り仕切ってほしい」と答えられました。
日本は、アジアの兄弟の国だから」とも言われました。


欧米と同じようなことをするのではなく、日本にしかできないことがアフガニスタンにあるということを、アフガニスタン人の青年から直接聞くことができて、とても感動しました。



また、講演会の後の2次会にも参加させてもらいました。そのとき「花と爆弾」を通して、アフガニスタンの子どもたちをずっと支援させてもらっていることを伝えました。「日本に、こんな形でアフガニスタンの子どもたちのために動いてくれている人々がいることを知って、ほんとうに嬉しいし、感謝する」と大喜びで、差し上げた「花と爆弾」を読んでくれていました。


アフガニスタンの未来はまだまだ険しいものですが、ひとりひとりもそして日本という国も、アフガニスタンのためにできることはあると確信できた、貴重なサバウーンさんとの出会いでした。



サバウーンさんのプロフィールやアフガニスタンへの思いが、今回の報告会のチラシに書かれています。
どうぞご覧ください。「アフガン人ジャーナリスト緊急来日~アフガンの今を知る大阪学習会


写真は『花と爆弾』を読むサバウーンさんです。

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