2014/05/22

 

放射能から子どもを守るために 講演会報告



「花と爆弾」も賛同団体となり、また私も世話人を務めさせてもらっております放射能社会を生きる連続セミナー。第5回となる入江紀夫小児科医師を迎えての講演会が、去る5月18日無事終了しました。ご協力いただいた皆様、たいへんありがとうございました。


第1回の郷地秀夫医師の講演会で、「いかなる被曝も健康にはなんらかの害がある」という点を確認し、関西居住の私たちにとっては最も危険性があると思われる食物などから放射性物質を体内に取り込んでしまう内部被曝をいかに防ぐかということで、2回~4回のセミナーを開催いたしましたが、第5回目は、「被曝は特に子どもたちにとって危険である」ということを確認する機会となりました。

入江先生は様々なデーターを示しご説明くださったので、客観的かつ冷静にその危険性を考えることができました。その中から何点か、ご紹介させてもらいたいと思います。


・発育期の子ども達は放射線感受性が高い

一人ひとりは同じ設計図(遺伝子DNA)をもつ60兆超の細胞から構成されています。
受精卵として生命が誕生してから、活発な細胞分裂を繰り返し、成長していく私たち人間。その細胞が放射線により損傷されると、遺伝情報が破壊されてしまいますが、特にその細胞分裂の活発な時期の被曝は影響が大きくなり、注意が必要です。

たとえば、子どもの脳神経系は生まれてから5歳ぐらいまで、リンパ系は12歳ぐらいまでに急激に発育し、生殖系は14歳ぐらいから発育が加速します。そのような時期は細胞分裂が盛んな時期であり、放射線の影響を受けやすいのです。

原発周辺に住む5歳未満の子どもたちを対象にしたドイツのKiKK研究(2007年)では、原発からの距離が近いと白血病のリスクが上昇することが証明されています。

また、子どもよりも影響を受けやすいのが胎児で、妊婦への放射線検査で10歳未満のがんの発症リスクが上昇することが明らかにされています。(Alice Stewart 1956 Lancet)

その他、チェルノブイリやベラルーシにおける子どもの健康障害などのデーターも紹介しながら、子ども達の放射線への感受性の高さを説明してくださいました。


・福島県の子どもの甲状腺がん多発

現在、福島第1原発事故による健康被害が懸念され、甲状腺検査が福島県で行われています。2014年5月19日、東京電力福島第1原発事故による放射線被ばくの影響を調べる福島県の県民健康調査の検討会が「子どもの甲状腺がん50人、疑い39人」と発表されました(調査人数37万人。子どもの甲状腺がんは本来100万人に1人の発生率)。18日の神戸新聞にこれを伝える記事がすでに掲載されていましたので、入江先生にもお見せしました。

「専門家」と呼ばれる人たちが、この福島県の子どもたちの甲状腺がん発症と、福島第1原発事故との関連はないとする一方、入江先生たち医療問題研究会の医師たちは、甲状腺検査結果と地域別外部被曝線量との関係を分析され、「被曝線量に応じてがんが増加する」「1mSvあたり甲状腺がんは71%増加する」ということを突き止められました。


・福島第1原発事故は「レベル7」の最悪の事態

現在の日本では、チェルノブイリ原発事故と並ぶ最悪レベルの放射能汚染が進行中であることを認識することが大切。これまでの知見にとらわれず、放射能がもたらす健康被害から子どもたちを守るために、私たちはあらゆる手段を講じなくてはならないとの入江先生のご発言に、現在の日本国内における状況認識の甘さを改めて認識しました。
  



後半のアピールタイムでは、2011年夏から、福島の子どもたちのための保養キャンプを実施されているたこ焼きキャンプ、まつもと留学という長期間に渡る子どもの移住計画、「どこでも誰でも放射能健康診断署名」活動への支援が訴えられました。


レベル7という事実をしっかりと見据え、子どもたちの健康と未来を守るために、具体的に行動をとることが、この国で生きていく上で欠かせないことになっている・・・。そのことを改めて実感したセミナーでした。



非常に拙い講演会報告となりましたが、医学的データーの豊富な講演内容をブログにまとめるのは難しく・・・
幸い、講演は下記サイトより動画で公開されておりますので、ぜひご覧ください。

放射能社会を生きる連続セミナー第5回 
放射能から子どもを守るために 講演会
講師:小児科医 入江紀夫先生(医療問題研究会)
演題:放射能の人体への影響ー福島における甲状腺がんの多発を考える
日時:2014年5月18日(日)14:00~16:45(13:30開場)
会場:神戸市勤労会館403号室
■(前半・講演部分・7分ぐらいから講演が始まります)
http://www.ustream.tv/recorded/47702245
(後半・アピール/質疑応答)
http://www.ustream.tv/recorded/47704709


Facebookのイベントページでも、会場の様子を少しご覧いただけます。
■放射能から子どもを守るために@放射能社会を生きる連続セミナー
https://www.facebook.com/events/1477819445782539/?ref_notif_type=like&source=1


関連記事:
<福島県民健康調査>子どもの甲状腺がん50人、疑い39人
毎日新聞 5月19日(月)20時41分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140519-00000079-mai-soci



This page is powered by Blogger. Isn't yours?