2017/03/08

 

東京電力福島第一原発事故より6年後 ~被ばくの強要~


これまで人類が経験したこともない、3基の原子炉メルトダウンと不可解な4号機爆発の引き金となった東日本大震災より、丸6年となります。

放射能汚染土が詰められたフレコンバッグの山
飯舘村(2017年1月)友人のE氏撮影

宮城県、岩手県と、津波により被災された方の中には、まだ仮設住宅での暮らしを余儀なくされている方も多く、阪神淡路大震災では約3年で仮設住宅がなくなったことを思うと、対策の遅れに、とても残念な思いです。

そして、阪神淡路大震災と比べようも無いほど過酷な、未曾有の事態を引き起こした原発事故。住む場所を放射能により汚染され、避難生活を余儀なくされている方々が、兵庫県にもいらっしゃいます。


実は、兵庫県には宮城県からの避難者もいらっしゃるのですが*1、福島県からの避難者のみ、この3月末で公営住宅無償提供をが打ち切られるのをご存知ですか?*2 それは、3月末で福島県4町村の避難指示が一斉解除されることによるもので、国と福島県が「避難の必要はない、帰還せよ」との政策を採ったことを表しています。*3

しかし、現実は、とうてい避難の必要がないような環境ではありません。*4
国の方針は、「年間被ばくが20ミリシーベルト以下なら問題ない」として、帰還を奨めているようですが、本来の年間被ばく線量の限度は一般人で1ミリシーベルト。それ以上の被ばくを強要することは、許されないはずです。

事故から6年。皆の関心が原発事故から離れていく時を待っていたかのように、次々と打ち出される被ばくの強要は、福島だけの問題ではありません。

環境省は、東京電力福島第1原発事故後の除染で出た汚染土に関し、放射性セシウム8,000ベクレル/kg以下の汚染土を、全国の公共事業で利用できるようにしました。しかし、原子炉等規制法に基づく規則では、原発の解体などによって発生したコンクリートや金属などの再生利用の基準は、放射性セシウムの場合、100ベクレル/kgとなっています。

本来ならば放射性廃棄物として厳重に保管されなければならない汚染土を、全国の公共事業で利用しようという政策。これは、日本に住むすべての人たちにたいする被ばくの強要に他ならないのではないでしょうか?



先日、事故後も福島大学で教鞭をとり続けていらっしゃる荒木田岳先生のお話を聞く機会がありました。*5 荒木田さんもおっしゃっていましたが、この国は、あの原発事故を契機に、完全に壊れてしまったのかもしれません。国が国の法律を守らず、人々に被ばくを強要する。責任をとるべき企業(東電を始めとする電力会社など)に有利な賠償枠組みが作られ、国税が投入され、国民はその負担を肩代わりさせられる。

また次の原発事故が起きても、同じように企業は責任を免れ、負担と被ばくは国民に押し付けられる構図が出来上がる中、次々と再稼働される原子力発電所。。。
このようなことが、「原子力規制委員会」「放射性物質汚染対処特別措置法」「東電改革提言」など、無味無臭の法律や提言の形をとり、まかりとおる国。

東京電力福島第一事故から6年。私たちは、この国は壊れてしまっていることを自覚し、国を再建するほどの覚悟をもって、この国で生きていかなければならないと思います。


まずは、これ以上汚染を広げないために。
【緊急署名】全国に被ばくを強い、環境を汚染する
「8000ベクレル/kg以下の汚染土を全国の公共事業で利用」方針に反対
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/160416.html

そして、一般人の年間被ばく線量限度1ミリシーベルトを国に守らせるために
【国際署名】子どもを守りたい・・
311原発事故被害者の人権を守るための国際署名
https://act.greenpeace.org/ea-action/action?ea.client.id=1980&ea.campaign.id=59917&utm_campaign=Energy&utm_source=facebook&utm_medium=post&utm_term=022117EN_facebook_NRTNvideo

無味無臭の言葉に惑わされないように・・・講演会を企画しています。
【アーサー・ビナード講演会】         
詩人 アーサー・ビナードさんに聞く
      言葉のつむぎ方、ひもとき方     
日時: 2017年5月21日(日)
    14:00~16:30 (13:30開場)   
場所: 神戸市勤労会館(405・406号室)
参加費:800円(原発避難者・高校生・大学生 400円)
花と爆弾賛同企画 詳細:http://whatsnew-on-flowersandbombs.blogspot.jp/2017/03/521.html


= 参考サイト =
*1 東日本大震災に係る被災地から兵庫県内への避難者受入状況
http://web.pref.hyogo.jp/kk42/hinannshaukeire28.html

*2 福島からの自主避難者 兵庫県に住宅支援策要望
神戸新聞NEXT 2017年2月16日
https://www.kobe-np.co.jp/news/shakai/201702/0009919582.shtml

*3 福島県4町村の避難指示、一斉解除へ 3万2千人が対象
朝日新聞DIGITAL 2017年2月27日
http://www.asahi.com/articles/ASK2W5FPQK2WUGTB00P.html

*4「避難指示解除」で期限を切られた「飯舘村住民」の怒り
 フォーサイト-新潮社ニュースマガジン
http://www.jiji.com/jc/v4?id=foresight_00151_201507230001

*5 原発問題、一人一人が主体的に 福島大准教が講演
神戸新聞NEXT 2017年3月5日
https://www.kobe-np.co.jp/news/touban/201703/0009969168.shtml




今年も友人たちと灯した
311神戸からの祈り@三宮マルイ前
 
 

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