2016/03/11

 

原子力防災の推進を兵庫県に申し入れました


昨年11月29日に開催した、さよなら原発神戸アクション主催で、私が企画・運営に携わっております「放射能社会を生きる連続セミナー」の第8回、「安定ヨウ素剤ってなあに?-原発事故!そのとき家族をどう守るのか?-」において、原発から30キロ圏外で唯一「安定ヨウ素剤」の事前配布を行っている兵庫県篠山市の取り組みを学び、もしも原発事故が起きたらどのように行動するのかを、皆でシミュレーションするという会を持ちました。詳しくは当ブログ*に紹介いたしております。

そのとき、参加者の皆さんとお約束した、安定ヨウ素剤の事前配布と、原発事故時に市民が放射性物質拡散情報を得やすくするための対策の自治体への訴えを、3月10日に実行して参りました。

放射能社会を生きる連続セミナーのメンバーと相談し、また県会議員の丸尾牧さんや、緑の党グリーンズジャパン共同代表の松本なみほさんのアドバイスなどを参考に、申し入れ書を作成し、3月10日午前、兵庫県の防災を担当する兵庫県企画県民部防災企画局 広域企画室 平田室長に「県民の命と健康を守るため原子力防災における対策の推進を」の申し入れ文をお渡ししました。


平田広域企画室長(右)と
申し入れをする放射能社会を生きる連続セミナーのメンバー

その様子は、地元テレビ局サンテレビの夕方のニュースでトップで紹介されました。

こちらをクリックしてもらうと動画をご覧いただけます。
      ↓
2016年3月10日17:50~ サンテレビ・ニュース
(私がデジカメで撮ってfacebookに投稿したものですので、音声が聞こえにくいですが、どうぞご覧ください。)



申し入れ文は下記に掲載していますが、主な内容は、兵庫県下での安定ヨウ素剤事前配布の取り組みの推進、モニタリングポストの改善、そしてそのモニタリング情報を兵庫県のホームページからリアルタイムで閲覧し易くしてもらいたいという3点です。


私たちの申し入れに、兵庫県は4月末日までに回答するとのご返答でした。
回答をいただいた後には、また当ブログでもご報告いたします。


以下、申し入れ文です。
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兵庫県知事 井戸敏三 殿

県民の命と健康を守るため
原子力防災における対策の推進を

                                                                                2016年3月10日
                                                                   さよなら原発神戸アクション
                                                          放射能社会を生きる連続セミナー部

 関西電力が、兵庫県近隣の原子力発電所の再稼働を進めています。2月29日には、26日に再稼働したばかりの高浜原発4号機でトラブルが発生し、原子炉が自動停止しました。また、関西電力は運転から40年を超える老朽原発である高浜1、2号機の再稼働も進めています。昨日3月9日に滋賀県大津地裁が、高浜原発3、4号機の運転差し止めの仮処分を決定しましたが、若狭湾に林立する原発群が再稼働に向けて動く状況下では、市民の命と健康を守るため、原子力防災についてのさらなる取り組みが必要とされているのではないでしょうか?

 兵庫県企画県民部防災企画局より発表された放射性物質拡散シミュレーションでは、高浜や大飯の原子力発電所で福島のような過酷事故が発生した場合、ほぼ兵庫県全域が深刻な影響を受ける可能性があることが明らかにされました。今後の対応として、兵庫県ホームページにおいて、2013年には以下のように発表されていました。*1-a

(1)国への働きかけ
原子力規制委員会が今後検討予定のUPZの範囲外の対策(PPAの導入)について、本シミュレーション結果を反映し、時期を定めて早急に原子力災害対策指針を改定するよう関西広域連合を通じて働きかけます。

(2)防災計画の見直し
国の対応状況等を確認しつつ、関西広域連合「関西防災・減災プラン原子力災害対策編」を改定するとともに、本県として取るべき対策を検討し、地域防災計画(原子力等防災計画)を見直します。

(3)安定ヨウ素剤の配備の検討
地域防災計画の見直しと並行して、安定ヨウ素剤の配備の検討を行います。


 2014年発表のシミュレーション結果と今後の対応*1-bでは、(3)の安定ヨウ素剤の配備の検討が削除されていますが、2014年のシミュレーション結果でも、甲状腺等価線量がIAEAの基準(50mSv)を超えるメッシュは38市町であり、この結果を真剣に受け止め、住民の健康と安全を守るために原子力防災に取り組んできた兵庫県篠山市は、特に子どもたちに多大な影響をもたらす放射性ヨウ素の被ばくから住民を守るため、安定ヨウ素剤の備蓄を完了し、2016年より事前配布を開始しています。*2 

 風向きによっては兵庫県内のどの自治体にも影響があることを考慮し、ぜひ、篠山市の取り組みを前例に、改めて兵庫県全体での安定ヨウ素剤配備を再検討し、更なる原子力防災への取り組みを推進していただきたく、以下の3点について、要望いたします。

1.安定ヨウ素剤の事前配布に向けた取り組みの推進

2. 県内6カ所のモニタリングポストの改善および増設(現在は測定可能な空間線量は毎時10マイクロシーベルトであり、避難の基準値を測定できない状態にあるため)*3
なお、3月7日の兵庫県議会におきまして、緊急時には「国や事業者の用意するモニタリング・カーなどで対応する」との当企画室長の説明がありましたが、原発事故時の混乱を考えると、兵庫県独自のモニタリング体制の構築も必要でありましょう。

3.県内6カ所の放射線モニタリング情報の兵庫県ホームページへの掲載
兵庫県の放射線モニタリング情報は、原子力規制委員会のサイト*4で、常時閲覧が可能になっています。兵庫県のホームページから、規制委員会のサイトをリンクするなどして、県民に重要な情報がいち早く届くよう対策を取っていただきたい。また、モニタリングポストの改善がなされた場合は、その情報もリアルタイムで閲覧できるよう要望します。

以上、原子力災害から県民の命と健康を守るため、出来るだけの対策を検討し、実行していただけるよう要望いたします。
また、この3点につき、2016年4月末日までに、何らかの形でご回答いただきますようお願い申しあげます。

                                            
=関連資料=
*1 
a 放射性物質拡散シミュレーションの結果について(2013年)
https://web.pref.hyogo.lg.jp/kk39/kakusansimu.html 
b 放射性物質拡散シミュレーションの結果について(2014年)
http://web.pref.hyogo.lg.jp/kk39/kakusansimu2.html

*2 もしもの原子力災害に備え、安定ヨウ素剤を事前配布します
(兵庫県篠山市ホームページより)
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/cat3/post-123.html
詳細:「原子力災害対策計画に向けての提言」
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/cat4/post-118.html
  
*3 兵庫県:6局全て、低線量率しか測定できず(美浜の会作成資料)
http://www.jca.apc.org/mihama/bousai/mp_hyogo151203.pdf

*4「兵庫県全域の測定結果一覧」原子力規制委員会
http://radioactivity.nsr.go.jp/map/ja/area.html
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今日は東日本大震災より5年となる3月11日。地震や津波の被害とは異なる、原発事故という目に見えにくい放射能汚染の被害・・・。その苦しみは、福島第一原発事故により被害を受けた方だけのものではなく、明日の私たちの苦しみだと思います。
同じ苦しみを分かち合い、二度と同じ過ちを繰り返さないために、私たちは行動しなければならないと思います。合掌。


=関連ブログ=
■安定ヨウ素剤ってなあに? -原発事故!そのとき家族をどう守るのか?-
http://flowersandbombs.blogspot.jp/2015_12_01_archive.html



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